島を知る・感じる・ふれあう!をテーマに、19離島の体験プログラム事業である「島あっちぃ」
地元のコーディネーターの方に案内してもらいながら、島々で異なる個性豊かな自然環境、文化、歴史など、たくさんの魅力に出会い、そして何といっても人々と交流するのがこの度の醍醐味。
今回は「水納島季節の農業体験」のリポートをお届けします。
【人口30~40人の小さな島】
本部町の渡久地港から船で15分。その島の形からクロワッサンアイランドと呼ばれている水納島。一周約4kmで、人口も30~40人ほどの小さな島です。熱帯魚と戯れることができる透明度抜群の天然ビーチの存在から、気軽に行けるリゾート地のイメージが強いのではないでしょうか。

それゆえ、夏場のリゾートシーズンにはマリンレジャーを目的とした観光客が数多く訪れますが、冬場になると逆に少なくなってしまいます。夏場は12往復ある渡久地港からの往復便が、冬場は2往復になってしまうこともその事実を物語っています。島への宿泊と農業体験を通して、夜に過ごす島の楽しみや、海以外の魅力を感じてもらうことが今回の島あっちぃの目的であります。
モニターツアーのコーディネートをしてくれるのは、民宿「コーラルリーフ・イン・ミンナ」の湧川さん。民宿の他、家族で農業も行っています。各家々で自給自足用の畑を持っている人は多いですが、島の外に出荷するほどに生産しているのは、湧川さんとあと1戸だけだと言います。農業の担い手がいないのが原因ですが、この島の野菜は美味いのです!
【一つひとつを拾い集めるじゃがいも収穫】
今回はこの時期に収穫を迎える、じゃがいも堀り体験。
友人同士だという参加者の20代女性2人は「普段は那覇で暮らしているので、こういう機会に農業に触れたいと思った」と今回の応募理由を話してくれました。

もちろん初体験だというトラクターの運転。はじめはぎこちなかったが、回数を重ねるごとに確実にコツをつかみ始めました。その後ろで掘り起こされたじゃがいもをひとつひとつ拾いカゴに集めます。赤い色をしたじゃがいもはレッドムーンという品種。メイクイーンに近い味わいだといいます。
土壌に化学肥料不使用、さらに潮風でミネラルが運ばれて来ます。島で飼われている馬の糞が堆肥に利用されていて、まさに島の恵みの結集と言える作物です。

小さな島である水納島ですが、場所によって土壌に特徴があり、南側は比較的赤土を多く含み、北側は砂を多く含みます。じゃがいもの他にもニンジン・大根・豆類・水菜などが栽培されていますが、それぞれに適作地があるというが興味深いところ。これらの作物は、本部町と名護市の農産物直売所で販売されています。
ペンションの裏庭にはハウス栽培のミニトマト畑。もぎたてのミニトマトは旨みが強いんですね。湧川さんの言葉に、参加者は遠慮なくもぎたてを食べながらお土産用のパックに詰めていました。

【近所の人も自然と参加の夕食会】
夕食交流会では、バーベキューに舌鼓を打ちながらお酒を飲み交わし、お互いほろ酔いに。島の夜に語らいの場は外せないです。ここで、近所に住むおじさんが「唄がないと始まらないよね」と三線を持って登場。リクエストに応えて民謡を披露してくれました。
「観光で暮らしているから、島をあげてゴミを片付けたり砂かきをしているよ。人も少ない島だからシーズンは大変だよ」と島の実情を話します。「でもこうやって島の外から人が来てくれて夜に一緒に食事できるのが嬉しいよ」とも添えてくれた。「まだこんな時間か。島の時間は過ぎるのが遅いでしょ?」とニコっと笑う島の人々。この時の流れこそがこの旅の醍醐味です。
翌朝は潮の関係で、少し残念ながら予定よりも早い午前8時半の船に乗ることに。渡久地港での振り返りゆんたく会にて、参加者の20代女性は「トラクターに乗るというなかなかできない体験だできて嬉しかった。島の人たちとの交流もできて水納島と繋がれた気がします」と今回のモニターツアーの感想を話しました。