島を知る・感じる・ふれあう!をテーマに、19離島の体験プログラム事業である「島あっちぃ」
地元のコーディネーターの方に案内してもらいながら、島々で異なる個性豊かな自然環境、文化、歴史など、たくさんの魅力に出会い、そして何といっても人々と交流するのがこの度の醍醐味。
今回は「津堅島特産あまーいニンジンの収穫&調理体験」の体験リポートをお届けします。
【キャロットアイランド津堅島】
「どんどん引っこ抜いてね!遠慮しないでたくさん持って帰ってね~」
と優しい島の女性に促され、天真爛漫に畑を駆け回る三姉妹の子どもたち。参加者が一緒に協力している様子を見ながらそれを微笑ましく写真に残すお父さんとお母さんの姿…
与勝半島の南側、中城湾に浮かぶ津堅島。別名キャロットアイランドと呼ばれ、このあたりの離島では唯一道路が繋がっていない島です。平敷屋港から船で30分。島に近づくにつれ浮かび上がってくる、堤防の「めんそーれビティ島へ」という文字。ビティ島とは、島の言葉で「わたしの島、みんなの島」という意味です。
美しい海を目的に、多くの人が訪れますが、そのほとんどは日帰り客。観光客がお金を使う仕組みができていないので、今回の島あっちぃではその仕組みづくりが期待されています。滞在型のお客さんの獲得と、体験プログラムの商品化、お土産を購入してもらう等の方法で、島に経済的な恩恵がもたらされるよう、課題解決を図ります。
コーディネーターの東松根信子さんは、この島に住み続けて約35年。この島の人やゆったりとした時間が好きで抜け出せなくなってしまったといいます。「この島をよく楽しんで頂いて、そっちからも私に新しい島の魅力を教えて下さいね」という言葉でプログラムツアーがスタート。
収穫体験の前のフリータイムに、昔ながらの雰囲気の集落の中を進みながら津堅島の史跡や観光名所を巡ることに。島の大部分を占める畑を眺めることができる展望台は、ニンジンが地面に突き刺さったデザインの「ニンジン展望台」。全周8.9kmの島とそれを取り囲む海が一望できます。ニンジンの中に入ってニンジン畑を眺める。まさにニンジンづくしです!

【島の恵みを両手に感じながら】
大人も子どもも一緒になって収穫体験。より力強く刃が生えているものであるほど、立派なニンジンが育っている可能性が高いとのこと。参加者はまるでおみくじを引くかのように、目利きした葉を引き抜いてはその大きさに一喜一憂して楽しんでいました。

潮を浴びて、ミネラルが豊富な津堅島のニンジン。
調理体験では皮を剥いただけで甘い香りが広がっていきます。100%のニンジンジュースはまるで果物かのような味わいです。王道のニンジンシリシリに始まり、煮付け、ニンジンのポタージュ、ニンジンところてん、ニンジンゼリーと盛りだくさん。その他、これも島の名産の芋を使ったウムクジテンプラと刺身盛り合わせもテーブルに並びます。新鮮で濃い味わいのニンジン料理に夕食交流会での会話も弾みました。

【単なる作物を超えたニンジンの存在】
津堅島にとってニンジンは単なる作物ではなく、人や文化をつないでくれる大切な存在です。
「収穫の際は近所で手伝い合うし、本島に住む親戚・友人も島に渡って来てくれる。農業体験という形で遊びに来てくれるし、ニンジンを通して人の付き合いも生まれます。交流を持つことで、より一層楽しんで貰えたら。私はいつでもウェルカムです!」と東松根さん。
参加した40代男性は「島の人と飲んで話すことで、島の魅力はもちろん後継者問題などの課題まで聞けて応援したい気持ちにつながった」と話し、30代女性は「子どもも楽しそうに現地の子ども達と遊んでいて、近い存在になったと思う」と目尻を下げました。