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自然は勝手にキレイにならない!阿嘉島の保全につながるビーチクリーン・フィールドクリーンツアー

「島を知る・感じる・ふれあう!」をテーマに、19離島の人々が企画したプログラムが体験できる「島あっちぃ 離島観光・交流促進事業」。
 
地元コーディネーターをガイドに島々の個性豊かな自然環境や文化、歴史など、たくさんの魅力に出会えるほか、島の人々との交流が楽しめるのもこのツアーの魅力のひとつ。今回は19離島78の体験プログラムの中から、阿嘉島の「自然は勝手にキレイにならない!阿嘉島の保全につながるビーチクリーン・フィールドクリーンツアー」をレポートしました。
 
【世界が恋するケラマの海】
 本来なら真っ白な砂浜が続く美しいビーチのはずですが、見渡すとプラスチックのボール状の大きな浮きやペットボトル、発泡スチロール、材木などが砂浜に大量に打ち上げられて、せっかくの景観も台無しです。これでも1か月前にきれいにしたばかりというから驚き。とにかくキレイにするしかない! 参加者は一斉にビーチに散り、黙々と漂着ゴミを拾い集めはじめます。
 
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 3月5日のサンゴの日、海をきれいにするビーチクリーンのイベントが沖縄県内各地で行われました。「島あっちぃ」のモニターツアーでも、3月5日に国立公園指定3周年を迎える慶良間諸島の阿嘉島で、1泊2日のビーチクリーンプログラムを開催しました。
 
 阿嘉島は座間味島の隣にある人口300人程度の島。那覇泊港から高速船を使えば約50分で渡ることができます。島の魅力を現地コーディネイターの一戸久子さんに聞くと、ケラマブルーと呼ばれる青のグラデーションが美しい海はもちろんのこと、人工の灯りが少ないので星空もくっきり。国の天然記念物に指定されているケラマジカも生息し、時々、海辺をのんびり歩いてる姿を見かけることもあるそうです。夏は海水浴やダイビング、シュノーケリングを楽しみに来る観光客も多いそうですが、座間味島や渡嘉敷島に比べ比較的人も少なく、のんびり静かに過ごすことができるのも阿嘉島の魅力のひとつ。そんな美しい海や豊かな自然を目当てに、世界中から多くの人々が訪れるそうです。
 
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【漂着ゴミをみんなで拾い集めました!】
 今回、島あっちぃ参加者が担当したエリアは、島の西側にあるクシバルビーチです。集落から離れているため訪れる人も少なく、自然のままの美しいビーチは観光客にも穴場として人気だとか。島の人たちにとっても、貝やタコなどをよく獲りに来る、とっておきのビーチだそうです。
 

「漁網用の浮きには有害な物質でできているものもあり、漂着ゴミがビーチの土壌を汚染してしまいます。砂浜は浄化作用があり、山から流れてきた水をきれいにしてくれます。なので砂浜をきれいにする必要があるのです。また、漂着ゴミが満潮の時に再び流れ出し、ウミガメが誤って食べてしまい死ぬこともあります」
 
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 観光協会の方の話しによると、その多くは中国や韓国など大陸からのゴミだそうです。冬場、北風に流されてきたゴミは、特に北向きの海岸に大量に漂着するといいます。時には大量の使用済み注射器が流れ着くこともあり、大変危険なので触らないよう注意されました。
 
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 天気も良く、ポカポカ陽気のこの日。汗をかきながら、参加者20名あまりで集めたゴミの量は写真のとおり。漁業用の浮きや網、ハングル文字のペットボトル、発泡スチロール、木材のほか、鉄パイプなど、中には「なんでこんなものが?」と思うようなものも砂浜には流れ着いていました。親子3人で参加したお父さんは、「子どもが実際にビーチクリーンを体験できてよかった。大陸からのゴミが漂着している現状を、子どもながらに何か感じているはず」と話していました。
 
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【阿嘉島の人々の熱いおもてなし】
 今回のモニターツアーは1泊2日と短いながらも、コーディネイターの一戸さんのガイドで集落を散策したり、ダイビング協会の大村さんのサンゴの話しもありました。自由時間にはシュノーケリングに挑戦する人、島を散歩する人、海岸でのんびりする人など、皆思い思いに過ごしています。
 
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 夜に行われた交流会では、民宿の前で海を眺めながらのバーベキューパーティを楽しみました。お世話になる民宿のお父さん・お母さんが用意してくれたおいしいお肉と野菜、焼きそばをお腹いっぱい頂き、ウクレレの演奏とモニターツアー参加者飛び入りの三線の共演で、楽しい宴となりました。
 
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「阿嘉島は飲食店が少ない分、民宿との繋がりが深くなっています。お客さんに島を楽しんでもらおうと、自分たちで釣った魚を料理したり、自家栽培で育てた新鮮な野菜を出したり。お酒の相手をしてくれたり、島を案内してくれたりと、一生懸命おもてなしします。今度島に来るときには、そんな民宿の方々との時間もぜひ楽しんでください」と話すコーディネイターの一戸さん。
 
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「島の人の温かさ、島の時間や空間がとても居心地良かった」「限られた中での生活が質素でまったりしていた。小さい頃の暮らしを思い出して、また何度でも通いたくなった」など、モニターツアー参加者の多くが島ののんびりとした時間や居心地の良さを感じていました。「何にもない贅沢という言葉をよく聞くけれど、初めてその価値に気づき体感することができた」と話す参加者もいました。
 
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国立公園となった美しい島々を守り、島を楽しんでもらうために一生懸命な、そんな島の人々の思いが伝わる旅でした。
 
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